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フィッティング調整
フィッティング技術の工夫
「フィッティング」はメガネを作るうえで、絶対にかかせない要素です。
お顔の大きさ、耳の形、鼻の形は人それぞれですから、それぞれのお顔に合わせてキッチリとフィッティングすることにより、はじめて光学的にも力学的にも、そして美的にも優れたメガネが完成します。
●光学的に満たされたフィッティング
メガネレンズの光学的機能が正しく発揮できるように、主にメガネの「前傾角」や「そり角」、「角膜頂点距離」を整えます。
メガネの用途に応じてメガネの「前傾角」を調整することは重要です。
老眼用にメガネを作る場合は、下方視することが多いので前傾角はやや深めに調整します。
車の運転など遠方用にお作りする場合は、水平方向を見ることが多いのでやや浅めの前傾角にします。
遠近両用メガネの場合は、下方視の入りやすさや近用部の視野の広さが変化しますので、さらに微妙な調整が必要になります。
同じように、視線とレンズの光軸ができるだけ一致するように「そり角」を調整します。
近方用では視線が内側を向きますし、遠方用では視線は平行に近くなりますので用途に合わせて調整する必要があるのです。
「角膜頂点距離」はレンズ後面と角膜までの距離です。
これが変化すると度数の矯正効果が変わってしまいます。特に強度になればなるほど顕著です。また、左右の頂点間距離が揃うように整えることも必要になります。
「前傾角」、「そり角」、「角膜頂点距離」のいずれも、「前のメガネの調整具合」、「使用目的」、「首を傾けて見ているなどの癖」などを考慮に入れてフィッティングいたします。 光学的要素が満たされていないフィッティングですと、レンズの命である光学的機能が発揮できません。
●力学的に満たされたフィッティング
力学的な要素とは、メガネがズレ落ちないように、かつ、耳や鼻が痛くならないように調整することです。
メガネがズレ落ちないように調整ができても、痛みがでるようであれば、使い物になりません。
その加減が眼鏡技術者の腕の見せ所でもあります。
●美的に満たされたフィッティング
どんなにオシャレなメガネでも、ズリ落ちて、いわゆる鼻メガネになっていたり、顔に対して傾いて掛かっていたりすれば台無しです。
人間の顔というのは必ずしも左右対称ではありません。
左右の目の高さや眉の高さ、耳の位置が違います。左右の違いを考慮に入れて、お顔とメガネが調和するように整えていくことで美的要素が満たされます。
■ フィッティングの一例
こめかみを圧迫しないように、テンプル(腕・つる)にゆるやかな湾曲をつけ、頭部を抱え込むようにフィッティング調整しています。
耳よりも前(モミアゲやこめかみ部分)をテンプルで強く押さえてしまうと、窮屈で痛みを感じやすく、それでいてメガネ全体を前に押し出す力が掛かってしまうので、かえってズリ落ち易くなります。
モダンという部分に「そらし」を付けています。
耳の後ろ部分は、人さまざまでいろんな形がありますが、へこみがあるかたが大半です。
そのようなかたには緩やかなそらしをつけて、 耳の後ろを圧迫しないように調整していきます。
■ さらに一工夫でより快適に
すべり止め加工
シリコン製の透明チューブです。透明でつなぎ目もありませんので目立たずに装着できます。
当店にてお買い上げのフレームには、必要があれば無償でお取り付けいたします。
*一部、取り付けできないフレームもあります。
プラスチックフレームの鼻当て部分は、一般的に固定式で調整が出来ません。(上段)
ですから、セル枠はお顔に合わせて微妙なフィティング調整ができないものが少なくありません。
鼻盛りという技術で、鼻当てを高くしたり、左右の幅を狭めることで、ズリ落ちを防ぎます。(中段)
さらにクリングスという金属足を埋め込むことも出来ます。(下段) パッドの片寄調製で左右のPD(瞳孔間距離)の違いに対応することも可能になります。
*一部、素材により、取り付けできないフレームもあります。 セル枠の改造は、当店お買い上げフレームに限らせていただきます。
●他店で購入されたメガネのフィッティング調整について
メガネはメガネ店の店頭で完成品になります。
フィッティング調整や修理などのアフターケアの責任は購入店にありますので
お買い上げ後のアフターケアは購入店でやっていただくのが原則です。
フィッティング調整料金は、お支払いの代金に含まれています。
しかし、世の中には、
上手に調整ができないメガネ店があります。
マトモな調整ができないメガネ店もあります。
端から調整しないメガネ店すら存在します。
そんなメガネ店で購入されたかたが、当店に「具合が悪い」とお持ちになることがあります。
そんな場合の当店の対応は お持ちいただいたメガネを拝見し、
当店でフィッティング調整をお引き受けするかどうかを判断させていただきます。
以下のフレームの場合は、調整をお引き受けできかねる場合が多いです。
・外国製フレーム
「Made in Japan」の刻印の無いフレームは基本的に外国製品です。
外国製品、特にアジアの一部の国の製品には、粗悪なフレームが目立ちます。
基本的に、得体の知れないフレームの調整はお引き受けできかねます。
・セルフレーム(プラスチック・樹脂製フレーム)
レンズの付け外し、横幅の調整には、加熱の必要がありますが、加熱によるトラブルが起こりえます。
特に軽量・超弾性を謳い文句にするプラスチックフレームには、ナイロン系やアミド系の加熱調整に弱いものが多いようです。
また、最近のセルフレームには外国製の粗悪な品質のものが多いようです。
・フチなしフレーム
フチなしフレームは、メガネを一旦分解して調整しなければいけないこともあります。
分解するには、フレームの構造や設計がわかっていないと難しくなりますし、レンズの破損の危険性もあります。
基本的に、当店取扱いフチなしフレーム以外のフチなしフレームの調整はお引き受けいたしかねます。
・お顔にまったく適合していないフレーム、調整余地の無いフレーム
もともと、お顔にまったく適合していないフレームは調整が困難ですし、
横幅調整や腕の長さの調整など、フィッティングの余地の無い何とも不思議なフレームもこの世に存在します。
・サングラス
矯正眼鏡に比して構造が粗雑な場合があり、サイズ的にもお顔に適合していないことが多いです。
・壊れたり傷ついては困る品
調整をお引き受けする場合の条件
他店で購入されたメガネの調整を当店でお引き受けする場合には、
原則として、下記のことをご承諾いただくことが前提条件となります。
〔1〕 調整により万一、破損、傷、メッキ剥がれ、その他、予期せぬトラブルが起こって使用不能となったり、使用の上でのご不満が出る(増える)ことになったとしても、当店では一切責任をとりかねます。 メガネの調整作業をしますと、十分な注意を持って作業を行なっても、不測の事態が生じることが完全には避けられないからです。
〔2〕 調整の結果、掛け心地などで、ご不満が必ず解消するとは限りません。
〔3〕 調整料金は、ほとんどの場合、有料で、1000~3000円程度申し受けます。その金額は調整が終了してから、手間の多さや難易度によって判断いたします。
「他店購入のメガネでも、調整や修理は無料でするのが当たり前」
と思われているかたがいます。
フィッティング調整は、眼鏡技術者(眼鏡士)にとっては重要な技術の一つです。
しかし、 この技術をないがしろにしているメガネ店も少なくなく、利益だけ上げればよいという無責任なメガネ店も多いのです。
こういう商売本意の店ほど、 「他店購入メガネの調整も無料です」と大々的に宣伝し、人を呼び込もうとします。
そして、無料の価値しか無いお粗末な技術で、フィッティング調整をする振りをして恩を売りつけることになります。
プロの眼鏡技術者の、その技術の根幹といえるフィッティングを無料にするのは、全くおかしいことだと考えます。
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