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複視(ものが二重に見える)
■ 複視とは
視覚の異常のひとつで、物が二重に見える場合を言います。
片目だけのときに二重に見える場合は単眼複視(片眼複視とも言う)
両目で見たときに物が二重に見え、片方の目で見たときにはひとつに見える場合は両眼複視(双眼複視とも言う)
■ 単眼複視
視力検査でお馴染みのランドルト環などを片目で見た場合に
一つに見えるべきところが
2重、3重にも見えたりしたら
これを単眼複視といいます。
「二重に見える」場合によっては「影が見える」「滲んで見える」という表現になったりします。
単眼複視の場合は、その原因は複視を起こしている眼にあります。
屈折異常(近視・遠視・乱視)の未矯正か不適切な矯正、 近見時には調節不全(老視)でも起こるかもしれません。
虹彩の離断や網膜疾患でも起こるでしょうし、
眼の中間透光体(角膜、眼房、水晶体、硝子体)の傷や混濁による乱反射等でも起こります。
角膜ヘルペスの瘢痕や、白内障が原因で起こる複視がこれにあたり、ときどき経験します。
単純な屈折異常の未矯正であれば眼鏡レンズで対応できます。
そうでない場合は眼科的治療を行うことになりますが、完全に解決するのは難しい場合も多いです。
■ 両眼複視
それに対して、片目ずつでは一つにみえているものが
両目で見ると二つに見えてしまう場合。
これを両眼複視といいます。
擬似体験するには、テレビやカレンダーを見ながら、グッと眼に力を入れて寄り目にすると像が二つにわかれます。
両眼複視は、左右の視線のズレ、「斜視・斜位」といった、
いわゆる「両眼視機能異常・不良」が原因となることが多いです。
また、 不同視による不等像、網膜の黄斑部の疾患による変視症や小視症、
水晶体の亜脱臼、白内障の手術で挿入する眼内レンズがずれてしまったり、などといった場合でも、
右眼と左眼の像をうまく一つに融合することができないために生じることがあります。
単眼複視同様、両眼複視は眼鏡で解決できる場合とできない場合があります。
特に注意するべきは、「急に起こったもの」「急激に進行するもの」ですが、
その場合は病的な複視が強く疑われます。
・眼球運動を支配する神経・筋肉に異常があるもの
・脳腫瘍や脳動脈瘤などの脳疾患などによるもの
・糖尿病などの循環器系の疾患によるもの
・バセドウ病など甲状腺の異常によるものなど
原因は多岐にわたりますので、
速やかに専門医への受診をおすすめします。
できれば、眼だけではなく、脳、神経、甲状腺機能など、総合的に検査できる病院が良いと思います。
生理的複視について
たとえば、2本の鉛筆を持って、1本は目の近くに、1本は伸ばした腕の先に置き、2本のうち1本を凝視すると、他の1本は2本に見えます。
これを生理的複視と言い、異常なものではありません。
生理的複視の複像の仮像は、中心窩に結像したものではなく、ぼんやりと見え、かつ、容易に抑制されるものなので、日常視においては特に注意を払わない限り意識させられるものではありません。
むしろ、物体の遠近感を与えてくれることに役だっています。
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