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両眼視機能検査 斜位(眼位)・融像検査

両眼視機能

■ 両眼視とは

人間は左右2つの眼をうまく連携して、広い視野と良質な立体視をすることができます。
これは、左右の眼に別々に映った像が頭の中で溶け合って二つの像が一つのまとまりとして働くために生じてくる感覚です。
この 「両眼を一つのまとまりとして使用することによって得られる視覚」を 両眼視 といいます。

1) 両眼とも網膜中心窩で物体を注視し、(中心固視)
2) 両眼同時に物体を重ねて見て、(同時視)
3) 両眼の網膜の像を脳で一つにまとめて見て、(融像)
4) その結果、立体感を感じ取ること。(立体視)

参考文献:「基礎両眼視」関真司著

■ 融像とは

右眼と左眼、それぞれの網膜に映る像を、脳で一つにまとめて見てことを融像と言います。
そして、二つの像のわずかな違いから、立体感や遠近感を得ることができます。
また、 斜位があっても、必ずしも二重になって見えるとは限らないのは、この融像という力が働くからです。 

■ 斜位とは

正位と斜位・・・両眼で遠いところにある目標を見ていて、片眼をおおったとき、おおわれた眼はその眼の固有の位置をとる。これが臨床的に用いられる眼位で、両眼の視線が正しく目標に向かっている場合を正位、視線がずれるものを斜位および斜視という。

斜位・・・斜位は両眼を開いて見ているときには、両眼の視線が集中しているが、もともと眼の位置が完全に正しくないため、両眼を開いた瞬間には視線が目標に集中しない。しかし、そうするとものが二重に見えるので、融像を働かせ、視線を合わせてものを1つに見る。斜位の程度が強いと、融像の努力をいつも強く働かせる必要があるので眼が疲労し、ときには融像を保つことが無理になって視線がはずれ、ものが二重にみえるようになる。

斜視・・・両眼視の機能が不良であれば斜視になる

参考文献:「屈折異常と眼鏡」医学書院発行

簡単に言うと、 左右の眼の視線にズレがあるものを斜位(しゃい)、
そのうち、両眼が同時に正しく機能していないものが斜視(しゃし)となります。

・眼が疲れる
・複視(ものが二重に見える)
・焦点が合いづらい
・遠近感覚が悪い
などの症状がある場合、眼位(視軸の向き)にズレがある斜位が原因であることがあります。

3Dの映画、あるいはTV・パソコン・ゲームなどが販売されるようになってきましたが、
両眼視の機能がよくないと、3DのTVを見ても立体的に見えなかったり、すぐに眼が疲れてしまう、というようなことも起こります。
これらの不具合は、適切な眼鏡矯正やビジョントレーニングで改善できることも少なくありません。

■ 両眼視機能検査

斜位にはタイプがあり、斜位の方向により ・上下斜位 ・外斜位 ・内斜位 ・回旋斜位 に分かれます。
上下斜位とは上下方向に視線のズレがあるもので、 外斜位は外側(耳側)、内斜位は内側(鼻側)方向に視線のズレがあります。
回旋斜位は非常に少ないですが、眼球が時計、あるいは反時計回りに回転するようにズレるものです。
そして、斜位は遠見時と近見時では、量も方向も変化します。

両眼視機能検査に用いる器具

「フォロプター」「レフラクターヘッド」ともいうようですが、
リモコンで内蔵したレンズを操作し、屈折や両眼視機能の検査を行う機械です。

 

各種両眼視機能検査を行う検眼レンズ

上から、
手持ち偏光レンズ
偏光レンズ
赤緑フィルター
バゴリーニSGグラス(桂式)
マドックス(桂式)

 

5メートル視力表

最近では、省スペース性の高い近接ボックス型視力表が使われることが多いようですが、当店では、余計な調節力の介入が少なく、より正確に測定できる5m視力表を採用しています。

市販の視力表に加え、両眼開放屈折検査を行うためのオリジナル視標を組み込んだ検査機器との2台体制で正確を期しています。

上段は「ワース4灯」検査視標で、周辺融像や抑制の有無を調べます。
下段は「偏光コの字」検査視標で、不等像や上下斜位等を調べます。

 

近見視力眼位測定装置

世界に一台しか存在しない、当店オリジナルの近用視力測定装置です。
乱視表、クロスヘア、各種偏光視標まで搭載し、あらゆる近用検査が可能です。

 

 

当店で使用している顧客データ記録用紙の一部です。

検査記録用紙

すべてを綿密に行うには相当な時間が掛かり、肉体的にも精神的にもお客様の負担になりますので、
常に全項目を検査するのは無理がありますし、その必要もありません。
お客様の眼の状態を考察し、必要な項目を選択して検査を進行させることになります。

当店では、必要に応じ、遠見眼位と近見眼位を測定します。

そして、
・お客様の自覚症状
・斜位の方向
・斜位の量
・斜位タイプ
・融像力
・年齢
・環境
などを考慮に入れて、必要があれば斜位の矯正も行います。

* ご注意!

複視(ものが二重に見える)には、単眼性の複視と両眼性の複視があります。
両眼性複視のうち、
・急に起こったもの ・急激に進行するもの ・視野が狭くなるもの ・眼瞼下垂や散瞳が伴うもの ・眼球の動きに異常があるもの ・眼球突出を伴うもの 
などは、脳、神経、甲状腺の異常の可能性があります。
早急に、専門医に受診されますようにおすすめいたします。

■ 視覚機能訓練

斜位のタイプにより、視覚機能訓練・ビジョントレーニングが有用な場合があります。
トレーニングは面倒に感じるかたもおられると思いますが、
必ずしもメガネ調製だけで不快な症状が取れるわけではありません。
斜位のタイプにより適切なトレーニング方法をアドバイスいたします。

ビジョントレーニング


両眼視をはじめ、さまざまな視覚機能の問題に取り組むスペシャリストのサイト

視覚機能研究会HP



※ プリズム入り眼鏡について

プリズムというのは、特殊なレンズや度数のことではありません。

一般的な眼鏡レンズも、光学中心に対し360°、基底が外方(凹レンズ)あるいは内方(凸レンズ)を向いたプリズムの集合体と言えます。
斜位矯正のプリズムは一方向へのみ光を屈折させるだけのものです。
(水平と垂直の斜位がある場合も、ベクトル合成すると一方向へのプリズムです。)

斜位矯正のプリズム入り眼鏡は、見かけ上、レンズの光学中心が眼前からズレており、
PD(瞳孔間距離)と一致しません。
プリズムの知識の乏しい眼科医院や眼鏡店(案外多いです!)が調べると、
「レンズの光学中心がズレている欠陥品」などと、謂れの無い中傷を受けることがあります。
もし、そういうことがあっても、気になさる必要はありません。


その他、こちらもご覧ください

両眼開放屈折検査

乱視検査

老眼検査

深視力検査
ビジョントレーニング

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